参考書籍

オオカミと生態系、オオカミと森、自然保護との関係などに関わる書籍をご紹介します。

オオカミが日本を救う!

ニホンオオカミ絶滅の実態とそれによる自然破壊を詳述し、真のエコロジーに立脚しつつオオカミ再導入に対する全ての疑問・誤解に答える。頂点捕食者の復活を全国民に訴える渾身の全18章! 

 

日本の自然生態系の荒廃が、北は北海道から南は屋久島まで深刻だ。主たる原因はニホンジカの激増である。シカは多くの植物を食べつくすまで増え続ける。下草ばかりか原生樹や植樹を食い荒らし、自然界に異変をもたらすのだ。日光ではシラネアオイやニッコウキスゲが危機に瀕し、山地ではライチョウや小鳥、小動物も激減、さらには各地で裸地化や土砂流出が発生し、まさに国荒れなんとすである。こうした現状に警鐘を鳴らし、絶滅した頂点捕食者オオカミを再導入すべきだとしたのが07年刊の『オオカミを放つ』(丸山他編著)であり、大反響を呼んだ。

本書はその第二弾である。オオカミの生態や捕食効果、明治政府による根絶の過程を詳述し、さらには前著刊行後に寄せられた全ての疑問・反論──「オオカミは人や家畜を襲うのではないか」「日本のは固有種だったのでは?」「マングース導入の失敗をどう考えるか」「導入候補地はどこなのか、そもそもあるのか」等々に対し、最新の科学的調査や真のエコロジーに基づいて丁寧に答えていく。偏見にまみれた識者・行政の対応に接しながらも、論理的思考を信じて全国民に頂点捕食者の復活を訴える編著者の思いは熱く、かつ深い。渾身、畢生の全18章! 

オオカミを放つ

かつて日本の森にはオオカミがすみ、シカやイノシシを捕食して

いた。しかし1905年、奈良県吉野山中で確認されたのを最後に絶滅したとされる。以来1世紀、天敵不在となったシカは爆発的に増え、森林や田畑の被害の声が日本各地で絶えない。また奥日光ではニッコウキスゲやシラネアオイが危機に瀕し、尾瀬でもミズバショウが食害にあっているという。

2005年11月、野生生物保護学会でオオカミ復活に向けて「日本のオオカミ絶滅百年シンポ」が開かれ、日本オオカミ協会に集う第一線研究者から若手フィールドワーカーまでが最新の研究・調査を発表した。オオカミ不在下でのシカによる森林生態系への影響、オオカミの食性、オオカミと人との共存、の三分野をめぐるその成果を元に広く一般向けに書き下ろされた本書は、「オオカミは人を襲わな

いか」「在来種を食い尽くすことはないか」等の不安・疑問にも丁寧に答えつつ、<オオカミの復活>を訴える。

日本の森林生態系の未来を見すえ、オオカミ復活に賛成の人にも反対の人にも送る問題提起の書。