なぜ狼は悪者扱いされてしまっているのか?
なぜ犬は狼の代わりになれないのか?
狼の狩りの仕方とは?
狼はドッグフードを食べるのか?
狼は本当に凶暴で人間を襲うのか?
遠吠えをする理由とは?
他にもたくさんの興味深い話があり、また狼の素晴らしい感動的な家族愛。
つがいに一途で、浮気なんてもってのほか。子育ても自ら進んで頑張るイクメンな狼。見た目も中身もかっこいい狼を描いています。
目次
第1章
オオカミはどうして悪者なの?
第2章
オオカミって、本当はこんな生き物です
第3章
世界のオオカミ絶滅から復活へ
第4章
オオカミのいない森
第5章
オオカミは生態系の守り神
第6章
オオカミよ、日本の森に還れ!
オオカミが戻った! 1995年早春、カナダで捕獲された2群、計14頭がイエローストーン国立公園に再導入されたのだ。かつて有害視されていたオオカミは政府の撲滅政策により絶滅寸前となり、1926年には公園内最後の2頭が死んで生態系のバランスが崩壊した。しかし2013年時点で、公園内だけでも10群95頭が生息すると目されている。
自然保護団体の北部ロッキー代表としてこの前例のない《オオカミ再導入》の挑戦に参加し、成功の立役者となったのが著者であり、20年にわたるオオカミ復活プロジェクトの内幕をつぶさに物語る迫真のドキュメントが本書である。
オオカミをめぐる戦争の相手は動物ではなく、人間だった。各州選出の連邦議員、畜産業者、関連機関、自然保護団体など、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、利害がぶつかり合った。オオカミ補償基金をはじめとする数々の創意工夫や持ち前の献身、努力、粘りによってこのもつれた糸をほぐしてゆく過程を、著者は時にユーモアを交えながら子細に語る。ここにあるのは、自然保護関連の数多くの賞を受賞した著者による「生物をめぐる政治」の生々しい記録であり、人間ドラマである。
人間が歴史的にオオカミに投影してきたものとは何か? 最新の研究に基づいた生態学的側面から文化史的側面までを幅広く紹介。さまざまな偏見を取り払い、オオカミへの理解が深まる。
オオカミを、学名である「カニス・ルプス」という種として見ると、人間がその撲滅に着手するまでは、ホモ・サピエンス以外では世界で最も広く分布していた野生(非家畜化)の陸生哺乳類だった。ゆえにオオカミの営みは、人間の社会や文化と広範囲で交差するようになった。人はオオカミをいかに恐れ、いかに殺し、そればかりでなくいかに愛したか。これから見ていくのは、その道のりである。(「はじめに」より)
野生動物のなかでもオオカミはとりわけ、人間が抱くイメージによって負のレッテルを貼られ、苦難の道を歩んできた。人間は歴史的にオオカミに何を見てきたのか―本書では、生物学的側面から歴史・文化的側面、そして近年におけるオオカミ復活の兆しまで幅広く紹介しながら、さまざまな偏見を取り払い、オオカミ本来の姿を見つめ直す。
大開拓時代を経て、オオカミは一時絶滅の危機にさらされたが、20世紀後半になると、オオカミをふたたび野生に戻そうとする試みが始まり、イエローストーン国立公園の例をはじめ、さまざまな試行錯誤が紹介される。